同人誌印刷トム出版 親切な人 2

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同人誌印刷 トム出版
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 ここを切って、この枝を切って、ここを残せば新しい芽が出るから、1本をずっと延ばすとぶどうを垂らせて袋かけもスムースにできる・・・・・・・。
 私は、黙って「フム、フム、、、」と言ってましたが、その思案にあぐねている様子に、かの男性は、
「僕が切ってもいいですか? 剪定ばさみはあるし、鋸があればいいんだけども」
といわれるのです。
「いいです、いいです。もちろん。鋸はありますから」
「じゃあ、今度の日曜日に切ってあげますから、鋸をそのへんに出しておいてください」

 日曜日。
 午前中、買い物や用事を済ませて帰ってみても、ぶどうの木は何の変化もありません。木に立てかけた鋸もそのままです。
「ああ、よかった。私がいる時に来られるようなので、何かお礼をしなくては」
と思っていたのですが、ちょうどその前の日から足のつけねが痛くて満足に歩けない状態に陥っていましたので、息たえだえ(ちょっと大げさですが)で、うんとこ、どっこい、と上に行ったりテレビを見たりしていました。
 3時頃、人が来たようなので外に出てみますと、何とぶどうはきれいに剪定されていました。かの男性は姿かたちもありません。私が気付く前に、きれいに剪定を済ませて立ち消えていたのです。切り取った枝はきれいに揃えて隅に寄せてありました。

 何処の誰かもわかりません。また、ふらっとここを通っていかれるかもと思うのですが、夜の暗い時にぼーっと一人立って待っているわけにもいきません。今回のことを感謝しつつ、またお逢いできることを願っています。

 今年は、おいしいぶどうが実りそうです。