同人誌 トム出版   第一球投げました  天の火もがも


天の火もがも


このところずっと寒い日が続いている。

丁度いま時分は果実などの樹木は活動を控えているから、

寒の肥料を施すにはよい季節なのである。

筆者も庭先の葡萄やらスイカの土壌などに、

せっせと肥料をあげている最中であるが、

そうは言うものの、この寒さは、ほんとに体の芯から冷えてくる。



そもそも、奈良東大寺のお水取りの行事が済まねば

春は来ない、と昔からいい伝えられているが、

実際そのとおり、三月十二日が済むまではずっと寒い日が続く。



その、お水取りの行事に関連して、不思議に思う事が一つがある。


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では、

タイムカプセルに乗って、

話しは奈良時代まで遡るが、、


万葉にこんな歌がある。



君が行く 道の長手を繰り畳ね 焼き滅ぼさむ 天の火もがも

( 狭野弟上娘子  さのの おとがみの おとめ )


歌意は、

あなたが行くという若狭への道を、 

折たたんで燃やしてしまいたい。

という熱烈な意味であるが、



作者の 「 狭野弟上娘子 」 は勿論、女性で、聖武天皇に使える女官である


恋しい彼が、若狭の国へ旅たつとき、

狭野弟上娘子が、中臣朝臣宅守

( なかとみの あそみ やかもり ) に送った歌だ。



ここで、関連する語彙を並べてみると、


聖武天皇 ( 東大寺建立された天皇 )

・若狭の国

・「 お水取り 」 が始められた由来 ( 東大寺縁起 )


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「 修二会 」 を始めた実忠和尚がその行の中で諸国の神々を勧請したところ、

若狭国の遠敷(おにう)明神が釣りをしていて遅刻してしまいました。

遠敷明神はお詫びの印に若狭国から香水を送りますましょうと言うと、

お堂の傍らの岩が割れ、黒と白の二羽の鵜が飛び出てきて、そのあとから水が湧き出てきました。

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そして、まことに不思議なことは

この「お水取り」に先立って、毎年3月2日福井県から奈良東大寺二月堂に向けて

「香水」を送る「お水送り」が行われている。

(-- 小浜市HPから--- )

ということなのです。


これらを並べて考えてみると、

浮かんでくるキーワードは「 若狭 」。


すると、あの狭野弟上娘子の、若狭に赴任して行った彼に ( 中臣朝臣 ) 対する思いが、

そのままお水取りの神事となって、今の世に伝わっているのでは ないか、、?

と、私は想像して見たりしているのだが、、。


これは、あくまでも冗漫事なので、一笑に付して頂ければ有難い。