同人誌印刷 トム出版   左近  右近

tomshuppan2007-12-23

同人誌印刷 トム出版


左近・右近



今日は12月23日。

明日はクリスマス・イブだ。

今年もおおつごもりが、すぐそばまで迫ってきた。

子供のころに感じたお正月とは、

何か幸せ感がいっぱいで、

友達と雪の中で戯れたり、本を読んだり、

また、お正月映画のロードショウ見に行ったり。

たくさん夢を感じたものだが、

一方で、そんな太平楽なウキウキした気分ばかりの

お正月でもなかったように思う。


お正月になると、歳の数だけ雑煮を食べよ、とよく言われる。

お前、幾つになったのか ?

うむ、そうか、だったら、もうぼつぼつ一人前だな。

今年から農作業はお前もやれそうだな。

、、と、、いやな事をいわれそうな気がいつもしていたのだ。


しかし、子供ではあるが、昔はいかに子供であっても、

遊んでばかりいる訳にはいられなかった。


当時読んだ少年雑誌に「左近・右近」という

短編があった。

たしか、吉川英治著作だったと思う。


そこに、とても心に染みることが記されていた。

うる覚えなので、正確には書けないが、

だいたい次のような内容だったと思う。

ーーーーーー

長州の久坂玄瑞は、左近・右近の二人の兄弟に向かって、

左近、おまえは今年でいくつになる ?

はい16になりました。

右近は?

14
です。

うむ、16歳か。では左近はもう立派な大人だ、

私が元服の儀式をとってあげよう。

と、玄瑞は言って、左近の前髪を切り落とし、きれいに曲げを

結い整えた。

さぁ、今日から左近は大人だぞ、玄瑞はそういいながら、

元服のしるしに朱の盃に神酒を並々と注いだ。

左近は、それを一口含んだ、熱いものが胸の中をしみ通っていった。

男となった儀式に、左近は目元を赤く染めていた。


ーーーー

昔の子供は16歳でもう大人としての責任を持たされていたのだった。

それからというもの、12月の暮れになると、

子供の夢をひたすら控え、家の仕事をよく手伝ったことが、

ついぞこのあいだのように思い出される。


その他日記ブログ 日々のできごと
人気ブログランキング
BlogPeople