同人誌印刷 トム出版  同人誌の性表現の法知識・第三回

イメージ 1

同人誌印刷 トム出版 http://www.tomshuppan.co.jp/



3 規範意識の徹底と法の解釈運用


(1) 刑法第百七十五条 【 わいせつ物頒布等 】

について猥褻の文書、図画その他の物を頒布、若しくは、販売し、又は公然これを陳列したる者は、

二年以下の懲役又は二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処す。


販売の目的をもってこれを所持したる者また同じ。

* わいせつとは、一体何がわいせつに当たるのか。


一口に言って「わいせつの定義」はとても難解です。

これがわいせつで、これはわいせつではない。と明確に一線を画せないところに問題を残しています。

しかしこの件は、歴史的に多くの判例の積み重ねがあり、不文法の規範があります。


ですから実際には個々それぞれに法令・判例をあてはめて擬律判断されるしかないと思われますが、

その判例によれば、


猥褻物とは、

●徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ、且つ

●普通人の正常な性的差恥心を害し、

●善良な性的道義観念に反するものをいう


ということになるそうです。


猥褻物とは

性欲の興奮又は満足の手段となる物をいう。

もっぱら学問上又は芸術上の作品又は参考品とされるものは、

おおむね猥褻物とはいえないが、その表現の態様によっては、猥褻物となることもある。


その場合に猥褻性の存否は純客観的に作品自体から判断すべきで

作者の主観的意図的によって影響されるべきものではない。

(法学博士 小野清一郎 著「ポケット刑法」抜粋)


同人誌の場合、学問上又は芸術上の作品又は参考品とはいえないから、

猥褻物の主体になり得ます。従って、個々の作品について、猥褻物かどうかは


・徒らに性欲を興奮又は刺戟せしめ

・且つ普通人の正常な性的差恥心を害し

・善良な性的道義観念に反するもの


に照らして判断するほかありません。

例えば、具体的には

男女性別を問わず、


・性器が見えたら即ダメ

・薄い線で描写されているが、形が視認できたらまずダメ、

・塗りつぶしがうすく、透けて見えるものはダメ

・ベタでもはみ出しているものはダメ(肛門の見えるものダメ)、、

判断の分かれるところですが、取り上げ方、描写の方法によりダメ。


第三回おわり。次回は頒布と販売とは について。


つづく


「同人誌印刷トム出版」 http://www.tomshuppan.co.jp/sex.html より抜粋。