同人誌印刷トム出版 遊行柳
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遊行柳
大阪もちょっと前までは、河内平野を大きく三つに分けて、北部、中部、南部と区分し、
むろん今でもそういう言い方で呼称してるのだが、その南河内の河南町に弘川寺はある。
ご存知の方には釈迦に何とか、、になってしまうが、
このお寺さんはとっても由緒正しく、且つ創建の歴史も極めて古い堂宇である。
この辺り一帯は古代には、いわゆる近つ飛鳥と称していた地域だから、
見るもの有るもの総て神々しいのは、むしろ当然のことかも知れない。
その河南の役場から東北東およそ2kmくらいのところに弘川寺はある。
秋は紅葉、春は桜がとってもキレイなところから、家族連れやハイカーなどで
大変賑わうポイントになっている。がしかし、
私は秋の弘川寺も好きだが、やっぱり春がいい。
その春に因んだ話になるが、このお寺さんは、
かの高名な西行法師が示寂されたところである。
西行さんは若い時分に出家して、四国、近畿、東海、果ては奥州まで行脚。
あの芭蕉が「遊行柳」を偲んで、
西行の
道のべに 清水流るる柳かげ しばしとてこそ 立ちどまりつれ
の歌を念頭に浮かべながら、
田一枚植て立去る柳かな
と、詠んだ逸話はことに有名である。
その西行法師は、かねてより、ご自分の願いどおりの、、
願はくは 花の下にて春死なん、 そのきさらぎの 望月のころ
の歌のとおり、ここ弘川寺で入寂した。
建久元年没 73歳
その三年後、源頼朝が鎌倉幕府を開いた。
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