同人誌印刷 トム出版   瀬戸の海の思い出   ( 完 )

イメージ 1

[Yahoo! JAPAN PR企画] BR+ http://brplus.yahoo.co.jp/brplus/pc/

同人誌印刷 トム出版 http://www.tomshuppan.co.jp

さて、先日の話のつづきだが、

若い船頭の兄さんは海のド真ん中で突然船のエンジンを止め、

乗っている僕たちに向かって、、


「さぁ 降りろ」


という。

降りろと言っても海のド真ん中なのに、一体どうすればいいの?

僕は躊躇しているうちに、だれかが海に飛び降りたらしく

船の前方でバサバサと水音が上がった。

あれっ、と思い、そちらに視線を移すと、

既に 二、三人の子供が海水を踏んで海の中を歩いている。

僕は腰が抜けるほど驚いた、


まるで十戒のモーゼみたい。

そんな衝撃が走った。

しかし、よく見るとその付近一帯は浅瀬らしく、

あちこち砂州が浮いている。

なるほど、やっと理解できた。

この辺りは干潮時になると、海が干上がって砂浜になるのだ。

僕は、ようやく正気づいてゆるゆると海に降りた。

船を降りた付近は、20センチくらいの深さだったが、

歩いているうちにだんだん浅くなり、やがて砂浜に辿り着いた。

広い。

とても広い砂州だ。

長さ1キロくらいもあろうか。

細長い帯状の形をした砂浜が遠くまで続いている。

それが、どちらを向いても回りは海、遠方に瀬戸内海の島々が霞んでいる。

そのド真ん中に砂州が浮いているなど

まるで魔法の世界に入り込んだみたいだった。

蒼い空、紺色の海の真っ只中で、大勢の人が汐干狩をしている。

ほんとに信じられなかった。

やがて、汐干狩が済み、船が砂州から離れる時分になると、

その砂州は再び海中に消えていった。

そこは

「 番の州 」

という浅瀬であることを後から知らされた。

おわり

https://comic.blogmura.com/ にほんブログ村 漫画ブログ
http://www.dendou.jp/in/2177173340人気ブログランキング