同人誌印刷 トム出版 瀬戸の海の思い出 ( 完 )
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さて、先日の話のつづきだが、
若い船頭の兄さんは海のド真ん中で突然船のエンジンを止め、
乗っている僕たちに向かって、、
「さぁ 降りろ」
という。
降りろと言っても海のド真ん中なのに、一体どうすればいいの?
僕は躊躇しているうちに、だれかが海に飛び降りたらしく
船の前方でバサバサと水音が上がった。
あれっ、と思い、そちらに視線を移すと、
既に 二、三人の子供が海水を踏んで海の中を歩いている。
僕は腰が抜けるほど驚いた、
まるで十戒のモーゼみたい。
そんな衝撃が走った。
しかし、よく見るとその付近一帯は浅瀬らしく、
あちこち砂州が浮いている。
なるほど、やっと理解できた。
この辺りは干潮時になると、海が干上がって砂浜になるのだ。
僕は、ようやく正気づいてゆるゆると海に降りた。
船を降りた付近は、20センチくらいの深さだったが、
歩いているうちにだんだん浅くなり、やがて砂浜に辿り着いた。
広い。
とても広い砂州だ。
長さ1キロくらいもあろうか。
細長い帯状の形をした砂浜が遠くまで続いている。
それが、どちらを向いても回りは海、遠方に瀬戸内海の島々が霞んでいる。
そのド真ん中に砂州が浮いているなど
まるで魔法の世界に入り込んだみたいだった。
蒼い空、紺色の海の真っ只中で、大勢の人が汐干狩をしている。
ほんとに信じられなかった。
やがて、汐干狩が済み、船が砂州から離れる時分になると、
その砂州は再び海中に消えていった。
そこは
「 番の州 」
という浅瀬であることを後から知らされた。
おわり
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さて、先日の話のつづきだが、
若い船頭の兄さんは海のド真ん中で突然船のエンジンを止め、
乗っている僕たちに向かって、、
「さぁ 降りろ」
という。
降りろと言っても海のド真ん中なのに、一体どうすればいいの?
僕は躊躇しているうちに、だれかが海に飛び降りたらしく
船の前方でバサバサと水音が上がった。
あれっ、と思い、そちらに視線を移すと、
既に 二、三人の子供が海水を踏んで海の中を歩いている。
僕は腰が抜けるほど驚いた、
まるで十戒のモーゼみたい。
そんな衝撃が走った。
しかし、よく見るとその付近一帯は浅瀬らしく、
あちこち砂州が浮いている。
なるほど、やっと理解できた。
この辺りは干潮時になると、海が干上がって砂浜になるのだ。
僕は、ようやく正気づいてゆるゆると海に降りた。
船を降りた付近は、20センチくらいの深さだったが、
歩いているうちにだんだん浅くなり、やがて砂浜に辿り着いた。
広い。
とても広い砂州だ。
長さ1キロくらいもあろうか。
細長い帯状の形をした砂浜が遠くまで続いている。
それが、どちらを向いても回りは海、遠方に瀬戸内海の島々が霞んでいる。
そのド真ん中に砂州が浮いているなど
まるで魔法の世界に入り込んだみたいだった。
蒼い空、紺色の海の真っ只中で、大勢の人が汐干狩をしている。
ほんとに信じられなかった。
やがて、汐干狩が済み、船が砂州から離れる時分になると、
その砂州は再び海中に消えていった。
そこは
「 番の州 」
という浅瀬であることを後から知らされた。
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