同人誌印刷トム出版   蕪村

tomshuppan2008-01-16

同人誌印刷 トム出版



薮入り

つい先日、、、

大阪市都島区というところに所用があって、ちょいと出かけることとあいなった。

その都島という土地は、大阪市の北端に位置しているのだが、南方面には京橋という有名な

繁華街を抱えており、またその背後には静かな住宅街が立ち並んだりしていて、

とても便利で住みよい環境にある街である。


さて、その一番北方向であるが、そこにはご存知、淀川というあの大河が流れていて、

大阪市内へ水を送り込むための設備というか、

いわゆる閘門という取水口が取り付けられている。

丁度その取水口の切れ込んだ堤防の片隅に、お目当てのものがあった。



とても大きな石碑である。


     〜 春風や堤長うして家遠し 〜  蕪村


古びた文字が刻まれていた。


このあたりはずっと昔、江戸時代は毛馬村と称していて、鄙なる村邑だった。

この村から若い娘さんや、幼い子供たちが大阪市内の商家に奉公に出かけたのであろう。

蕪村はここで生まれたが、少年時代にこの土地を離れ、以後一度も帰郷しなかった。

その蕪村が、故郷懐かしさの余り、頭の中で当時を偲んで詠んだ歌らしい。


「薮入り」になると、商家の旦那からお許しがもらえ、

奉公人である小娘や、年端もいかない子供が、大阪から遠い道のりを歩いて家に帰ってくる。

その故郷が次第に近づいてくる嬉しさと。

それにしても、この堤防の長いこと、、、。

子供たちは思わず嘆息したのだろう。

私は石碑を何回も読み返した。


父母に早く会いたい、、。はやる子供の心がとてもよく出ていて、
思わず涙がこぼれ落ちそうになった。



今日は一月十六日  薮入り  である。
http://d.hatena.ne.jp/tomshuppan/20080116



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