同人誌印刷 トム出版 大原の里
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12月の末、飛鳥の里に雪が降った。
起きてみると大阪の町も珍しく雪化粧で白く染まっていた。
そヾろ神の物につきて心をくるはせ、
道祖神のまねきにあひて取もの手につかず、
(芭蕉)
この、芭蕉の心境ほどではないが、
私はチャンス到来とばかり勇んで飛鳥に出かけた。
近鉄南大阪線で橿原神宮まで行き、そこから橿原神宮線に乗り換え、
岡寺で降りた。
駅を出ると、まぁなんと美しいことか。
一面、飛鳥の里が真っ白、きらきら輝いている。
それを見て、ふとあの天武天皇の歌を思い浮かべた。
わが里に 大雪降れり 大原の
古りにし 里に 落らまくは後
まぁまぁ、私の里に大雪が降ったよ、君の古ぼけた里には降ってないだろ。、
ずっと後になったら、君の里にもきっと降るだろうよ。
と天武天皇は、ご自分の奥様にジョーク風に、
雪の降った喜びを伝えたのだろうが、
このお返しがまたいい。
これに対する藤原夫人の反歌で 、
わが岡の おかみに言ひて 落らしめし
雪のくだけし そこに散りけむ
あなた、なに言ってんのよ、あの雪はね、
私の丘の水神様に言いつけて降らせた雪なのよ。
そのとばっちりが、あなたの里に飛び散っただけなのよ。
ハッハッハ、ほんとに和やかで面白い。
天武天皇の飛鳥清御原宮と、ご婦人の住む大原の里との間は、
ほんの1キロも離れていないのに、
これを読む度に、夫婦仲の心の温かさが伝わってきて、
とても心が和んでくる。
つづく
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