同人誌印刷トム出版 ただより高いものはない
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ただより高いものはない、安もの買いの銭失い、、
同じような諺だが、なるほど心理かも知れない。しかしその諺にも色々あって、逆もあり、
また真もある。
今日はその真の方の話をしてみよう。
これもずっと昔の話だが、会社のリクリエーションで島根の出雲へ一泊旅行に行ったことがある。
この八雲立つ出雲の国は、古風土記の『 出雲の国風土記 』の現存する由緒ある土地だ。
それで、出雲の夜を楽しく過ごした一行は次の朝、日御碕灯台へと赴いた。
ここの景色はほんとに絶景だった。
海面からの段差20メートルにも及ぶ絶壁断崖の上、ギリギリに立つ真っ白い灯台。その先に広がる蒼い海原。
私は思わず、、
白鳥は悲しからずや 海の青 空の青にも染まずただよう -----牧水
の歌を口ずさんだ。
館内は想像していたよりずっと広々として、展望台にのぼる急峻なラセン階段が取付けてある。
しばらくして、、、
その階段を登っていた若いK君が頭をさすりながら戻ってきた。
おや、どうしたんだい?
私は訊ねた。
はぁ、、いえ、、フフフ、、ハハハ。
彼は頭を撫でながら、照れ笑いしている。
すると、もう一人の友人が上から降りてきて、
おい、お前、痛くなかったか?
その友人も笑いをこらえながら言っている。
一体どうしたというのだ。私はその訳を聞いた。
聞いたトタンに、わたしも大声で笑ってしまった。
と、いうのは、階段が急なので下から上を見ると、女子社員の
スカートの中が、、、、、
登っていた女社員がようやくそれに気付き、
こら〜 !! ただで見るな !!!
と下に向かって叫ぶや否や、
履いていた旅館の、あの木で出来た重いたツッカケをK君狙って上からそろりと脱ぎ落としたそうな。
それが口を開けてニコニコ眺めていたK君の頭に、コーン。
面食らったK君はあわてて下に降りてきた、という始末。
ハッハッハ。さぞ痛かっただろう。
ただより高いものはない。
私はさそう言いながら、なおも笑いコケたのを覚えている。
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