同人誌印刷トム出版  秋月 (最終)

tomshuppan2007-09-26

同人誌印刷トム出版 http://www.tomshuppan.co.jp


私がかぎろいの丘に赴いたのは、今から二十数年も前のことだから、あの付近の景観も少々変わっているかも知れない。

当時はほんとに何もなく、たしか公衆トイレがどこか角の方にポツリとあっただけの、どこにでもあるような自然の風景のままだった。

私がそこに立ったのは、暮れも押し迫った12月30日のことだった。

かなり冷え込みのキツイ日で、足元から冷気がじんと伝わってきて、
体全体が凍りつくような酷寒の日だった。


まだ暗いうちから見物の人たちがぞろぞろ集まりはじめ、日の出まえには総勢200人くらいになった。

しかし、残念なことに、それまで抜けるように晴れていた夜空も、お日さまが顔を出し始めるチョット前くらいから、東の空に薄雲がかかり、

深いため息と共に見物客を不安がらせたが、残念なことにこの日はとうとう最後まで「かぎろい」は姿を見せなかった。


けれどもその時、背後の西空には悠久たる1300年の歳月を超えた満月が、熊ケ岳の山際にひっそりと懸かっているのがいかにも印象的だった。



ひむがしの 野にかぎろいのたつ見えて かへりみすれば 月かたぶきぬ

人麻呂---



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同人誌印刷トム出版  かぎろい(2)

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かぎろいの丘は奈良県大宇陀町にある。

ここはその名のとおり、あの「かぎろい」が実際に見られる所だ。

小学校の横の細い登り道をすこし上がったところに、なだらかに起伏のある原野が広がっている。

その東、ずっと向こうの山際から差し込む陽光が、この原野をかぎろいが染めるのである。

かぎろいというのは、寒い朝の2時間くらい前の、

まだ明けやらぬ暗い空から微かに陽光が差し始めるとき、一帯に陽炎が燃え立つ

現象を言うのです。

その陽炎が燃え立つった時、ふと西の空を見ると、お月様が大きく西に傾いていた。

私は「かぎろい」もさることながら、その、かたぶきぬ月をとても見たかったのです。

1300年前と同じ月を。


つづく


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