同人誌印刷 トム出版の田沢湖の思い出

tomshuppan2007-09-04

同人誌印刷 トム出版 http://www.tomshuppan.co.jp/


田沢湖の思い出

あれは暑い夏の盛りのことだった。

私は同人の親友、KGさんを訪ねて盛岡に遊びにいった。
なにしろ初めての土地だから少々不安だったが、
無事、彼と久しぶりにJR盛岡駅で対面できて、その杞憂はうそのようにけし飛んだ。

それから、あちこち物見遊山の観光めぐりをしようという話になって、駅前でレンタカーを借りた。

第一の目標は田沢湖

盛岡から西へ西へ、雫石を過ぎて秋田に入り八幡平。そこから山腹の羊腸をゆるゆる抜け、少々遠回りになったが、ようやく目的地に着いた。

車窓からふと見ると、湖畔にあの有名な辰子像が立っている。
二人は早速車から出て水辺のベンチに腰をかけ、売店で買ったアイスクリームを舐めながらよもやま話に興じた。

「なんでもこの湖は日本一深いんだって」
「うむ、そうだな、深度423メートルだってな」

私はさっき見たばかりの案内表示板に、そう書いてあったことを彼に告げた。
なるほど、そう思って見詰めていると、湖面はどこまでも蒼く透明で、ついには引き込まれそうになるような錯覚さえ覚えた。

ああ、、ちょっと疲れたなぁ。

二人は申し合わせたように生あくびをした。
長時間のドライブは頭の芯が疲れる。

「疲れたなぁ」

と言うなり、彼はそのままベンチにゴロっと横になった。

「車のエアコンの中で一眠りするか」

私はそういって駐車場に停めてある車のところに戻り、後部座席でゆっくり足を伸ばして横になった。

、、、、しばらくして(5、6分も経っただろうか)

車のドアがサッと開いた。

なぬ?

私はもそもそと体を起こし、開いたドアの方を見た。

むむ、外に背の高いサングラスの兄ちゃんが二人。
指で、降りてこい、と合図している。

私は、一瞬ギョっとしたが、ま、仕方がない。
こんな風雅な土地にもチンピラがいるのか、

ちょっと落胆した気分を引きずりながら、
よし、相手になってやる。私はキッパリと覚悟を決めた。

私は車から降りるなり、

「おい、何の用だ」

拳を固め、肩をいからせ、相手に先制の言葉を吐いた。

相手の二人は、怪訝そうに顔を見合わせ
「?、何の用だって??。おたく、この車、誰のんと思ってんの」

「なな、なにっ、??、、誰の車だって??見りゃ分かるやろ! 私のレンタカーじゃん」

そう呟きながら改めてよく見ると、、、」
車名・型式・色まで全く同じ、、。だが、ナンバーが全然違う。

うむ、レンタカーじゃない。自家用車だ。しまった、と思ったがもう遅い。
げっ、顔色、真っ青。

「す、すみません。ごめんなさい。」

異変に気づいた彼が戻ってきて、そばで腹を抱えて大笑いしている。

「人の車に入りこんで寝ていたのか、、、ハッハッハッハ、」

つづく


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田沢湖の思い出

あれは暑い夏の盛りのことだった。
私は同人の親友、KGさんを訪ねて盛岡に遊びにいった。

なにしろ初めての土地だから少々不安だったが、
無事、彼と久しぶりにJR盛岡駅で対面できて、その杞憂はうそのようにけし飛んだ。

それから、あちこち物見遊山の観光めぐりをしようという話になって、駅前でレンタカーを借りた。
第一の目標は田沢湖

盛岡から西へ西へ、雫石を過ぎて秋田に入り八幡平。そこから山腹の羊腸をゆるゆる抜け、少々遠回りになったが、ようやく目的地に着いた。

車窓からふと見ると、湖畔にあの有名な辰子像が立っている。
二人は早速車から出て水辺のベンチに腰をかけ、売店で買ったアイスクリームを舐めながらよもやま話に興じた。

「なんでもこの湖は日本一深いんだって?」
「うむ、そうだな、深度423メートルだってな」

私はさっき見たばかりの案内表示板に、そう書いてあったことを彼に告げた。
なるほど、そう思って見詰めていると、湖面はどこまでも蒼く透明で、ついには引き込まれそうになるような錯覚さえ覚えた。

ああ、、ちょっと疲れたなぁ。

二人は申し合わせたように生あくびをした。
長時間のドライブは頭の芯が疲れる。

「疲れたなぁ」

と言うなり、彼はそのままベンチにゴロっと横になった。

「車のエアコンの中で一眠りするか」

私はそういって駐車場に停めてある車のところに戻り、後部座席でゆっくり足を伸ばして横になった。
、、、、しばらくして(5、6分も経っただろうか)

車のドアがサッと開いた。

なぬ?

私はもそもそと体を起こし、開いたドアの方を見た。

むむ、外に背の高いサングラスの兄ちゃんが二人。
指で、降りてこい、と合図している。

私は、一瞬ギョっとしたが、ま、仕方がない。
こんな風雅な土地にもチンピラがいるのか、

ちょっと落胆した気分を引きずりながら、
よし、相手になってやる。私はキッパリと覚悟を決めた。

私は車から降りるなり、
「おい、何の用だ」

拳を固め、肩をいからせ、相手に先制の言葉を吐いた。

相手の二人は、怪訝そうに顔を見合わせ
「?、何の用だって??。おたく、この車、誰のんと思ってんの」

「なな、なにっ、??、、誰の車だって??見りゃ分かるやろ! 私のレンタカーじゃん」
そう呟きながら改めてよく見ると、、、」

車名・型式・色まで全く同じ、、。だが、ナンバーが全然違う。
うむ、レンタカーじゃない。自家用車だ。しまった、と思ったがもう遅い。

げっ、顔色、真っ青。

「す、すみません。ごめんなさい。」

異変に気づいた彼が戻ってきて、そばで腹を抱えて大笑いしている。
「人の車に入りこんで寝ていたのか、、、ハッハッハッハ、」

つづく

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